令和5年(行ウ)第3号 行政処分取消請求及び公文書全部開示請求事件について
2024年10月23日更新
事件番号等
- 事件番号 令和5年(行ウ)第3号
- 事件名 行政処分取消請求及び公文書全部開示請求事件
- 裁判所 松山地方裁判所
- 原告 1名
- 被告 愛南町
- 代表者兼処分行政庁 愛南町議会
処分の経緯等
令和5年1月19日愛南町懲罰特別委員会会議録の情報開示請求に対し、処分行政庁である愛南町議会は、令和5年2月1日付けで愛南町情報公開条例7条1号及び5号の規定により愛南町懲罰特別委員会会議結果会議録のうち秘密会議決後の会議録を不開示とする部分開示決定をしました。
原告は、これを不服とし、公文書の部分開示決定を取り消し、全部開示するよう令和5年6月29日に松山地方裁判所に提起した行政裁判です。
判 決
(主文)
1.処分行政庁が原告に対し令和5年2月1日付けでした部分開示決定のうち、令和元年9月13日愛南町懲罰特別委員会会議結果会議録の秘密会議決後の会議録、同月18日愛南町懲罰特別委員会会議結果会議録及び同月24日愛南町懲罰特別委員会会議結果会議録を開示しないと決定した部分を取り消す。
2.原告のその余の請求を棄却する。
3.訴訟費用は、これを2分し、その1を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。
(裁判所判断 抜粋)
争点1 情報公開条例7条1号及び5号に規定する情報に該当するかについて
(1)情報公開条例7条1号該当性について
懲罰特別委員会は委員会条例19条の規定により、委員会の議決によって秘密会とすることができる。そして、秘密会の形式で開催した際の議事録の非公開については、委員会条例30条が委任する会議規則96条1項により、公表しない旨を定めているが、情報公開条例7条1号は「法令若しくは条例」と法形式を限定しており、委員会条例30条の規定により委任する会議規則を含むものと解するのは相当でなく認められない。
(2)情報公開条例7条5号該当性について
町の機関の内部における審議、検討又は協議に関する情報のうち一部を不開示とするものである。その趣旨は当該機関の最終的な意思決定前の未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報等を公にすることにより、町民の誤解や憶測を招き、不当に町民の間に混乱を生じさせるおそれがあり、また、特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがあることから、これらの事態を防止するためであると解される。規定する「おそれ」とは、単なる可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性であると解するのが相当である。懲罰特別委員会は、懲罰対象となる議員の一身上の事件について審査するものであるから、議事を開示されると特定の者に不当に利益を与えるおそれがあり、懲罰対象の議員に対して不利益を及ぼすおそれがあること、懲罰特別委員会の委員は、議事の内容が漏洩されない前提で発言しており、当該発言内容が公にされると、委員に対し、発言内容に批判がされるなどの不利益を及ぼすおそれがあることの主張は、立証がなく法的保護に値する蓋然性であると認められない。
争点2 義務付けの訴えが認められるかについて
懲罰特別委員会の秘密会の議事録であるところ、情報公開条例7条1号及び5号以外の各号の不開示情報に該当する部分がある蓋然性が否定できずこれに該当しないことが明らかであるとは認められない。公開決定すべきであることが処分の根拠規定から明らかであると認められ、又は公開決定をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるということはできず、義務付けの訴えに係る請求は理由がない。
(結論)
原告の請求は、主文第1項の限度で理由があるからその限度で認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
判決後の経過
控訴なく判決確定により、公文書の開示については、愛南町情報公開条例7条2号の規定により個人に関する情報を不開示とする部分開示決定をしました。
愛南町城辺甲2420番地
電話番号:0895-72-7320
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