僧都ウィンドシステム風力発電事業に係る保安林内土地形質変更許可無効確認等請求事件についてお知らせします
2026年02月13日更新
僧都ウィンドシステム風力発電事業に係る保安林内土地形質変更許可無効確認等請求事件等について、令和8年1月23日に判決が確定しましたので、ご報告します。
関係地区住民の皆さまをはじめとする町民の皆さまには、長期にわたり多大なご迷惑やご心配をおかけしましたこと、誠に申し訳なく心からお詫び申し上げます。
事件番号等について
訴訟提起日 平成30年2月13日
事件番号 平成30年(行ウ)第3号
保安林内土地形質変更許可無効確認等請求事件
原告 1名
被告 愛南町
僧都ウィンドシステム風力発電事業の概要
本件の発電事業は、四国風力発電株式会社が愛南町に総出力16,000kW(2,000kWの風力発電機8基)の風力発電所を設置するものである。事業実施区域は和口、長月、僧都地区の尾根上で、変電所ヤード、第1号機から第3号機風車ヤード及び第5号機から第8号機ヤードは民有保安林に供し、変電所及び第1号機から第7号機ヤードは国有保安林に供している。
事件の経緯
- 愛南町は、平成27年5月27日、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(以下「再エネ法」という。)第5条1項に基づき愛南町農山漁村再生可能エネルギー基本計画を策定し、本町及び四国風力発電株式会社は同基本計画の実施において必要となる各保安林の指定解除に向けて、本件民有保安林を所管する愛媛県及び本件国有保安林を所管する愛媛県森林管理署との間で事前調整を行った。
- 四国風力発電株式会社は、同月29日、本町に対し、再エネ法第7条1項に基づき風力発電設備及び附属設備(工事用道路を含む。)の整備を内容とする設備整備計画に係る認定を申請し、愛南町長は同年6月10日、四国風力発電株式会社に対し、再エネ法第7条3項に基づき設備整備計画の認定を行い、翌平成28年6月17日、設備整備計画の変更に係る認定を行った。
- 愛南町長は、平成28年10月3日、愛媛県知事に対し、森林法第27条1項に基づき本件民有保安林の指定解除を、平成29年2月20日、愛媛森林管理署長に対し、本件国有保安林につき保安林の指定解除をそれぞれ申請した。
- 愛媛県知事は、平成29年6月13日、愛南町及び四国森林管理局長に対し、森林法第30条1項及び30条の2第1項に基づき、本件各保安林につき、保安林を解除する予定であることを通知した。
- 愛南町長は、平成29年7月24日、四国風力発電株式会社に対し、森林法第34条2項に基づき、変電所ヤード1箇所及び風車ヤード8箇所の施設用地の整備を行うために本件各保安林の土地の形質を変更することを許可し、四国風力発電株式会社は、平成31年4月1日までに、本件各保安林内において代替施設等を設置するための工事を行った。
- 愛媛県知事は、平成31年3月29日、森林法第26条の2第1項に規定する「指定の理由が消滅したとき」に当たるとして、本件民有保安林の指定を解除し、農林水産大臣は、同日、森林法第26条1項に規定する「指定の理由が消滅したとき」に当たるとして、本件国有保安林の指定を解除した。
請求の趣旨
- 被告が平成29年7月24日付けで四国風力発電株式会社に対してなした保安林内形質変更許可決定処分(愛農発第538号)は無効であることを確認する。
- 被告が平成28年6月17日付けで四国風力発電株式会社に対してなした設備整備計画の変更に係る認定のうち、保安林内の作業道開設の認定は無効であることを確認する。
- 訴訟費用は被告の負担とする。
事件の経過
平成30年4月27日に開催された第1回口頭弁論に始まり、合計17回の弁論準備、口頭弁論を行う。(令和3年11月26日 結審)
判決
令和3年12月23日(木曜日)
主文 1 本件訴えはいずれも却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
判決の趣旨
- 保安林の水源かん養機能が低下し、洪水によるいつ水等によって、原告の生命、身体、財産に対して直接的な影響が及ぶ危険性があると認めることはできず、原告は、本件作業用道路に係る保安林の指定の解除について「直接の利害関係を有する者」には当たらない。その他、原告が設備整備計画のうち本件作業用道路に係る認定について、「法律上の利益を有する者」に該当すると認めるに足りる証拠はない。
- 各保安林内の傾斜度は一部に25度以上の傾斜地が存在するものの、25度以上の部分は局所的であり、第1級地には該当しない。
- 洪水により土石流の発生の危険性が高くなったと認めるに足りる証拠はない。
- 形質変更許可処分に重大かつ明白な違法があることを認めるに足りる証拠はない。
- 本件作業用道路を林道として利用するとともに、林道の除草等の清掃業務を町内の林業関係団体に委託することにより、林業の活性化に資する取組を行うこととされていること、四国風力発電株式会社及び被告町は、平成29年2月13日に本件作業用道路を森林施業に用いるものとし、管理する旨の協定書を締結していること、本件作業用道路は林道台帳に登載されていることが認められ、これらの事実に照らすと、林道として周辺保安林の森林施業に利用されるものであり公益的機能は高いと認められる。本件の申請に係る行為が本件各保安林の指定の目的の達成に支障を及ぼすと認めるに足りる証拠はない。その他、作業用道路に係る保安林の指定の目的の達成に支障を及ぼすとは認められない。
【一審判決後の経過】
令和3年12月27日、判決を不服とした原告が原判決の取り消しを求めて控訴。
事件番号等について
控訴提起日 令和3年12月27日
事件番号 令和4年(行コ)第2号
①保安林解除決定差止請求事件
②保安林内土地形質変更許可無効確認等請求事件
控訴人 1名
被控訴人 国 愛媛県 愛南町
控訴の趣旨
- 原判決を取り消す。
- 第1事件
(1)愛媛県知事が平成31年3月29日にした保安林指定解除処分(平成31年愛媛県告示第266号)を取り消す。
(2)農林水産大臣が平成31年3月29日にした保安林指定解除処分(平成31年農林水産省告示第591号)を取り消す。 - 第2事件
(1)愛南町が平成29年7月24日付けで四国風力発電株式会社に対してなした保安林内形質変更許可決定処分(愛農発第538号)は無効であることを確認する。
(2)愛南町が平成28年6月17日付けで四国風力発電株式会社に対してした設備整備計画の変更に係る認定のうち、保安林内の作業道開設の認定は無効であることを確認する。
(3)訴訟費用は被告の負担とする。
事件の経過
令和4年4月22日に開催された第1回口頭弁論に始まり、合計16回の進行協議、弁論準備及び口頭弁論を行う。(令和7年1月21日 結審)
判決
令和7年5月27日(火曜日)
主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
判決の趣旨
- 本件作業用道路は、保安林の指定を解除せずに開設できる林道等に該当し、その開設が保安林指定の目的が阻害されるかどうかは、本件形質変更許可処分において個別に審査されることになる。林道として森林の保安機能に支障がないと判断され、保安林の形質変更が許可されるのであれば、風車ヤード等の開発(解除処分)と一体で行われたとしても、解除処分の判断において道路の影響を重ねて考慮する必要はないというべきである。
- 水源かん養保安林の指定解除の検討は、洪水及び渇水の緩和機能の観点から行うのが原則であり、土砂災害防止機能の観点からも検討しなければならないとは解されない。ピーク流量の変化が1%に満たない場合に、水源かん養機能が失われて土砂流出が生じることは考え難く、流出する土砂の量を見積もっていないから実態を反映していないものとは認められない。
- 本件作業用道路は、一部の傾斜が急な個所を除いて等高線に沿って開設されており、稜線や谷といった地形を大きく変えて集水域を変更させるような内容のものは認められない。また、排水施設やゴム板の設置によって異なる集水域に排出されるなど、1%増加率の算出が実態を反映しないものになると認めるに足りる適切な証拠はない。
- 控訴人が提出した報告書や意見書が指摘しているのは土砂流出の危険性であり、洪水に関する主張ではないため、水源かん養保安林の指定解除に関する当事者適格の主張としては認められない 。
- パスコ調査報告書では、斜面・地盤災害のリスクは低いと結論付けており、その内容は合理的なもので、信用性は高く、本件各保安林が地形、地質等からして崩壊しやすいものに該当するとは認められない。よって、風車ヤード等が崩壊しやすい第1級地に該当すると認めることはできない。
- 本件風力発電事業は、愛南町農山漁村再生可能エネルギー基本計画に即している。風力発電のためという転用の目的、本件保安林の地理的条件、見込まれる風況などを照らすと、本件保安林は、「その土地以外に適地を求めることができないか、又は著しく困難である」と認めることができ、保安林指定の解除の要件としての「やむを得ざる事情」がないということはできない。
- 排水施設や土砂流出防止施設が施設設置基準に適合しており、流量増加はわずかなものであることから、洪水調整池などの設置等が必要であるとは認められない。
以上、控訴人の本件第1事件の各訴え及び本件第2事件のうち本件形質変更許可処分の無効確認請求に係る訴えは、いずれも原告適格を欠くから、不適法として却下すべきものであり、これと同旨の原判決(平成30年(行ウ)第3号に係る判決)は相当であって、本件各控訴のうちこれらに関する部分はいずれも理由がない。本件第2事件のうち本件認定に係る無効確認請求については、理由がないからその請求を棄却すべきものであり、原告適格を欠くとして訴えを棄却した原判決は不当であるが、これについて被控訴人からの不服申立てはないので、原判決を控訴人の不利益に変更することはできない。
よって、本件各控訴をいずれも棄却する。
【控訴審判決後の経過】
令和7年6月3日付けで、控訴審判決を不服とした原告が上告受理申立書を高松高等裁判所に提出。原裁判所での審査を経て、最高裁判所に事件記録を送付。
事件番号等について
上告受理申立日 令和7年6月3日
事件番号 令和7年(行ノ)第6号 行政上告受理申立て事件
上告受理申立人 1名
上告受理申立相手方人 国 愛媛県 愛南町
上告受理申立の趣旨
- 本件上告を受理する。
- 原判決を破棄し、さらに相当の裁判を求める。
最高裁判所における調書決定について
事件の表示 令和7年(行ヒ)第268号
決定日 令和8年1月23日
決定の内容
裁判官全員一致の意見で、本件を上告審として受理しないこと、申立費用は申立人の負担とすることを決定。
決定の理由
本件は、民事訴訟法第318条第1項により受理すべきものとは認められない。
以上により、高松高等裁判所による控訴審の判決が確定し、当該事件が終結しましたことをご報告します。
愛南町城辺甲2420番地
電話番号:0895-72-7316
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください




